25年6月より労働安全衛生法・規則の改正により、特定の条件下で熱中症の「早期発見」と「重篤化防止」に関する措置が義務化されます。
違反した場合は、罰則(6か月以下の懲役または50万円以下の罰金)の対象となります。事業者は、高温多湿などによる労働者の健康障害を防ぐ措置を講じる義務があります。
労働安全衛生規則により、以下の措置が義務付けられています。
従来の「努力義務」から罰則付きの法的義務へ。
体制整備と手順の策定・周知が必須となります。
以下の環境下での作業が対象です。
【作業時間】
連続1時間以上 または 1日4時間超
厚生労働省が発表した「2020年職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2020年の熱中症による職場での死傷者数は919人でした(うち死亡者は19人)。死傷者については、全体の4割以上が建設業と製造業で発生。死亡災害の発生は8月に集中しており、建設業で7人、製造業では6人が8月に死亡しています。
熱中症になっても、迅速に手当を行えば命は助かりますが、職場での熱中症は発見が遅れる傾向にあり、残念ながら死に至るケースが少なくありません。空調が効きにくい倉庫や工場など、作業環境の改善が急務となっています。
企業には、熱中症から大切な従業員を守る義務があります。配慮を怠り、作業中に重傷者や死亡者が出てしまうと、企業の安全配慮義務違反が問われ、損害賠償を請求される可能性もあります。
例えば企業の事例ではありませんが、当時中学1年生のバドミントン部に所属する男性が、部活動中に熱中症になり脳梗塞を発症した事案において、監督責任のあった中学校長に過失があったとして、411万6811円の請求がなされました。
たとえ死亡に至らなくても、過酷な作業環境では仕事の能率低下や従業員満足度の低下、ひいては退職の引き金になりかねません。熱中症のリスクを回避するために、労働者の安全対策を検討し、作業環境を改善することが大切です。
※参照元:最高裁判所公式HP(https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=86277)
空調服とは、服に小型のファンが付いており、着衣内の空気を循環させてくれる作業服のことです。体の表面に大量の風を流すことで汗を即座に乾かしてくれるので、あせもや肌トラブルもなく、涼しく快適に過ごすことが可能です。
工場や屋外作業などエアコンが使用できないような環境におすすめです。 ただし、水に濡れるような環境や、ほこり・粉塵が舞う場所では、小型ファンが故障する原因になるので要注意。また、ファンはバッテリーで稼働するため、連続稼働時間を確認してから購入した方がよいでしょう。
スポットクーラーとは、キャスター付きで動かせる少人数用クーラーのことです。エアコンを設置しづらい場所や、エアコンが効きづらい倉庫内でピンポイントに狙った範囲を冷やしてくれます。設置工事が必要ないので手軽に利用できますが、ハイパワーであるほど購入費用が高く、電気代もかかります。また、排熱のことも考えなくてはならないため、設置には工夫が必要です。
室内の温度の上昇は、直射日光が当たる屋根や外壁から熱が伝わっているのが主な原因です。ならば、その屋根を冷やしてしまおう!という発想から生まれたのが屋根用スプリンクラーです。
屋根にスプリンクラーを設置し、撒いた水の気化熱によって屋根の温度を下げます。特に工場などでは熱のこもりやすい鉄製素材が屋根や外壁に使われており、屋根散水による室内の温度変化に期待が寄せられています。自然かつ環境にやさしい方法ですが、水道代かかるのはデメリット。また、屋根材の劣化にも注意しなくてはなりません。
熱の侵入が最も大きい屋根や天井、南側や西側の壁面等に遮熱シートを貼ることで、熱の侵入を防ぐ方法もあります。遮熱をすることで、夏場の冷房費だけでなく、冬場の暖房費も抑えることが可能です。
ただし、定期的に張り替える必要があるうえ、工場の屋根の面積を考えるとかなりのコストになるのはデメリットです。
シーリングファン(HVLSファン)とは、天井付近に取り付けるファン(扇風機)のことです。プロペラを回転させることで屋内全体の空気を循環させ、体感温度を下げる効果が期待できます。ランニングコストを抑えられるという長期的観点からすると安価で場所を取らず、排熱も気にしなくてよいため、熱中症対策の救世主として世界中で導入が進んでいます。
ただし、設置には高所作業車を必要とする工事が必要で、機械や設備設置後だと取付がやや大変です。
熱中症対策にはさまざまな方法があります。特に屋外作業では空調服が有効ですが、空調服を人数分揃えなくてはならない、ホコリや粉じんが舞うところでは壊れやすいなど注意が必要です。また、屋根用スプリンクラーは常に水道代がかかる・遮熱シートは工事代が高額など、費用面も無視できません。
おすすめは、ランニングコストがさほどかからず、省エネにも貢献してくれるHVLSファン(シーリングファン)。すでに業務用エアコンを設置している場所では、併せて使うことで電気代を削減する効果も期待できます。
| 手段 | HVLSファン | 空調服 | スポット クーラー |
屋根用 スプリンクラー |
遮熱シート |
|---|---|---|---|---|---|
| カバー範囲 | ~約2,000 m²/台 | 着用者のみ | ~20 m²/台 | 屋根全面 | 施工面全体 |
| コスト | 初期100-500万円 運転低コスト |
1-2万円/人 | 8-10万円/台 | 初期50-150万円+水道代 | 4,000-6,000円/㎡ |
| メンテナンス性 | 年1回点検 | 充電・洗濯 | 週次清掃・排水 | ノズル清掃 | ほぼ不要 |
| おすすめの場合 | 広大空間×省エネ | 移動多い作業者 | 熱源局所冷却 | 金属屋根倉庫 | 新築・改修時 |
HVLSファンを設置し、空気を循環させることで、熱中症対策はもちろん、湿気対策・カビや錆の発生を抑制することができます。また、換気対策や臭い対策、省エネ対策、鳥害対策、防霜対策などにも有効です。通年を通してさまざまな効果が期待できる、 次世代型の環境改善アイテムです。
他にもある、HVLSファンのさまざまなメリットを知りたい方はぜひこちらをチェックしてみて下さい。