畜舎において、換気は非常に大事な作業です。換気するのに相性が良い「HVLSファン」の特徴などをまとめてみました。
牛は暑熱ストレスが原因で、産乳量が低下するのは良く知られています。そのため、夏の暑い時期の換気に力を入れている人は多いです。
一方、寒さによっても牛はストレスをためてしまい、産乳量が低下することから、畜舎を閉め切ってしまうことがあるようです。
閉め切られると、畜舎の中は湿気やアンモニア、CO2といった汚れた空気がこもってしまいます。これもまた牛にストレスを与える原因や風邪をひく原因となることもあり、食欲減退し、体力が落ちてしまう牛も出てきてしまいます。そのため、冬場も換気はとても重要です。なるべく日中の暖かい頃合いを見て、牛の身体には直接風が当たらないよう気を付けながら、窓や扉などを開けて換気するのが良いでしょう。
畜舎を建設する際は、真夏の暑さを考慮して、風通しのよい場所を選ぶことが前提となります。牛にとってなるべく自然の風を換気に利用したいところですが、利用するためには外気との開放部面積を大きくする必要があります。全面開放することのできる窓を取り付ける、取り外し可能の窓を取り付けて夏の期間は外す、などといったことができる設計にすると良いでしょう。
畜舎の壁面、牛の鼻先あたりの場所に、開口部をところどころ設置する設計も可能なようです。
扇風機を使った強制換気は、自然の風を利用しただけでは効果が出ない場合によく活用します。
扇風機で牛体に直接風を送ることは、暑熱対策としては手軽で効果がありますが、畜舎全体を換気するには、多くの台数が必要となるでしょう。さらに場所や方向も考えて設置しなければ、効果に差が出てしまいます。
HVLSファンのHVLSは(大風量・低速度)の意味。回転風速(スピード)ではなく、羽根の大きさと風量に視点を置いた新しいタイプの超大型ファンのことです。巨大な羽根によってたくさんの空気をとらえ、対流を起こさせることで、大きな風の流れを広い範囲にまで作り出します。
牛舎は広く、低層のため、空気がこもりがち。特に夏場は、畜舎内は非常に暑く息苦しくなる環境になることも多いです。乳牛だと人間が感じる暑さより低い温度で、ストレスを感じ始めます。乳牛のストレスは、牛乳の搾乳量や品質に、大きな影響を及ぼします。
HVLSファンで快適な風を行き渡らせる、また、畜舎内のこもった空気を外に放出することによって、ストレス軽減が期待できるでしょう。そのため、牛舎とHVLSファンは相性が良いと言えます。
空調と併用して使用すれば、効率よく冷やしたり温めたりすることができるため、消費電力を抑えることができます。一般の家庭でエアコンと扇風機を併用することにより、電気代を抑えられるということと同じ原理です。空調によるコストカットが期待できるため、省エネ性能が高いと言えるでしょう。
HVLSファンは牛舎内の隅々まで風を送ることができるため、温度のムラをなくします。カビの発生しやすい風通しの悪い場所、湿気の溜まりやすい場所にも効果を発揮。サビや腐食も防ぎます。衛生管理の厳しい畜舎において、HVLSファンは相性が良いと言えるでしょう。
引用元:プレシード公式HP(https://www.preceed.co.jp/our-products/sd-fan/)
製品名 | SD FAN(プレシード) |
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スペック |
■SD FAN A-L(LC) 直径 7.15m 風量 14,900m³/min 重量 69kg 消費電力 0.84kW 防水性能 IP57 保証 モーター:20年 ブレード、その他部品:10年 ■SD FAN A-M(MC) 直径 6.15m 風量 12,400m³/min 重量 57.5kg 消費電力 0.65kW 防水性能 IP57 保証 モーター:20年 ブレード、その他部品:10年 ■SD FAN A-S(SC) 直径 5.15m 風量 10,900m³/min 重量 52kg 消費電力 0.45kW 防水性能 IP57 保証 モーター:20年 ブレード、その他部品:10年 |
価格 | 100~500万円(要見積もり) |
オートメーション機器の国内メーカー「プレシード」が製造したHVLS大型シーリングファン。海外の製品規格を採用し、国内で部品調達と組み立てを行って製造しています。
主要素材には高強度アルミニウム合金を採用しているため、大型ながらも超軽量化を実現。設置作業の簡素化や消費電力の削減に貢献しています。
モーター部分には20年の長期保証、コントローラー、制御装置、ブレードには10年の保証付きです。
引用元:【PDF】英国酪農家の導入事例 オーウィル公式HP(https://owill.co.jp/macroair/pdf/CaseStudy-UkDairyFarmer.pdf)
製品名 | AirVolution550 |
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スペック |
直径サイズ 2.43~5.49m(全6サイズ) ブレード本数 6 変速範囲 1-220 RPM~1-74RPM 推奨設置間隔(半径) 18.28~28.95m 最大有効面積 371.6~1393.5m² 速度100%時の静粛性(dBA) 53~61 消費電力 730~1070W 吊るした状態での重量 65.3~85.3kg 馬力 1.05HP 動作可能な温度帯 最低-10~60℃ |
価格 | 要見積もり |
乳牛400頭を保有する英国の牛舎にHVLSファンを設置。高すぎる温度や湿度は乳牛にストレスを与える要因となり牛乳の搾乳量や品質を及ぼすので、対策が急務となっていました。導入後は乳牛の寝床が乾燥状態を保ち、ストレスフリーに近い環境で過ごすことができるようになりました。
引用元:イプロス公式HP(https://www.ipros.jp/product/detail/2000261753)
製品名 | ビッグアスファン |
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スペック |
直径 2.5~7.3m 風量 扇風機50台分(最大) カバー範囲 最大2,500平米を1台でカバー 設置可能な高さ 30mまで 回転 低回転(56~180回転/分) |
価格 | 要見積もり |
動物も人と同じように熱中症になってしまうこともあります。牛舎・馬舎にHVLSファンを設置することで、体調管理環境が整えられ熱中症や夏バテ防止につながったり、ストレス軽減による搾乳量の向上が期待できたりします。
暑さや湿度が人間の体調に影響与えることと同様、牛舎の牛もまた、暑さや湿度により体調に影響が生じます。体調不良に陥った牛の中には、人が与える食事を十分に摂れなくなる牛も出てくることから、製品の質や生産量にも影響が及びます。中には、暑さのあまり熱中症になる牛も出ることがあるようです。
HVLSファンの導入で牛舎を快適な環境とすれば、夏場でも牛の体調は良好。品質の高い製品を安定的に生産することができるでしょう。
HVLSファンは、設置することで畜舎の換気や臭い対策など、さまざまなメリットを得られる優れものです。設置したことで環境改善に一役買ったという畜産農業関係者の声も挙がっています。TOPページではおすすめのHVLSファンをニーズ別に紹介していますので、ぜひご確認いただき、導入を検討してみて下さい。