HVLSファンを選ぶ際の指標の一つになるのが、IP規格です。「IP規格ってなに?」という方のために、ここでは、IP規格についての基礎知識をご紹介します。
湿気が多い場所、極度に低温の場所、粉塵や塩分が多い場所、腐食性ガスが発生する場所など、過酷な環境にも関わらず、それに耐える性能がない電気機器を設置すると、器具や部品の腐食・劣化による脱落、絶縁性能の劣化、短期間での発錆など、故障の原因となってしまいます。
HVLSファンは、防塵、防水性能を備えているため、溶接や塗装など粉塵が発生しやすい作業現場や、湿気が多い倉庫・工場などでも安心して使用することが可能です。
HVLSファンを選ぶ際にチェックしたいのが、IP規格です。 IP規格は、防水・防塵規格とも言い、2003年に国際電気標準会議(IEC)によって定められた、電気製品の防水・防塵性能を表す規格のことです。携帯電話やデジタルカメラなどにも記載されているのを知っている方も多いでしょう。
IP規格は、身のまわりの電子機器に幅広く使われています。 IP+数字2桁で表され、1桁目の数字が防塵性能の度合いを、2桁目の数字が防水性能の等級を表します。防塵は7等級、防水は9等級に分かれています。 例えば「IP55」と書かれていた場合、その製品は5等級の防塵性能と5等級の防水性能を備えているということです。「IP6X」という表記の場合は、6等級の防塵性能だけを備えています。
IP55とは、防塵性能が5、防水性能が5、という意味です。防塵性能5とは、「有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない」というレベルです。これは、例えば一定時間粉塵が舞っている状況であっても、機械などを故障に至らせることがない程度を意味します。
また、防水性能5とは、さまざまな方向からの噴流水による有害な影響がないとされるレベルです。水道水などのノズルで上や斜めから水がかかっても問題ない状態を意味しています。
つまりIP55とは、「機器の正常な作動に支障をきたしたり、安全を損なう程の量の粉塵が内部に侵入したりしない、いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない」状態、防塵、防水ともに高いレベルでの保護された状態ということができるでしょう。
IP規格は、国際基準に則り、決められた試験をクリアしたことを示す値です。IP規格が記載されている製品なら、高い品質が期待できるでしょう。 HVLSファンは、設置場所に合った規格を選ぶことが大切です。湿気が多い場所や粉塵が多い場所で防水性能や防塵性能が低い製品を選定してしまうと、思わぬトラブルの原因となってしまいます。10年単位の長期で使用する設備なので、品質をよく確認しましょう。