倉庫・工場内のガス対策でお悩みの方も多いのではないでしょうか。ここでは、倉庫・工場に効果的なガス対策をまとめてご紹介します。
金属をアーク溶接する作業では、アークを用いて金属を溶断すると、熱に溶けた金属が蒸気になります。この蒸気が空気中で冷やされ、金属酸化物の細かい粒子となったものを「溶接ヒューム」といいます。溶接ヒュームは細かいため空気と一緒に体内に入りやすく、吸い込んでしまうと体内に蓄積され、じん肺などの健康被害を引き起こす大変危険な物質です。しかも、神経障害など、健康に悪影響を及ぼす恐れがあるため、2021年4月1日には特定化学物質(第2類物質)に加えられました。
屋内で金属アーク溶接作業を行っている作業場では、溶接ヒュームの濃度測定を行い、換気装置の風量の増加など、対策を講じる必要があるでしょう。
溶接ヒューム対策の必要性は知っていても、具体的に何を行えば良いか困っている担当者も多いでしょう。ここでは、主な対策法を3つご紹介します。
金属アーク溶接等作業では、一般的に粒子捕集効率95.0%以上の防じんマスクが使用されていますが、マスクがしっかり顔に密着していなければ、わずかな隙間から溶接ヒュームが侵入してしまう恐れがあります。顔にフィットしたマスクを使用しているか、今一度確認しましょう。 また、事業者には、1年以内ごとに1回の定量的フィットテストを行うことが義務づけられているので、空気中の溶接ヒューム濃度に応じた防護性能のマスクを選択するようにしてください。
どんなにマスクを使用しても、清掃が行き届いていなければ、スタッフにとって安全な環境を整えることはできません。金属アークの溶接作業場は、粉じんが飛ばないように1回以上の清掃を毎日行いましょう。水洗いがおすすめですが、作業場の環境によってできない場合は、洗剤の塗布、ブラッシング、汚水の回収という一連の工程を一台でできる床洗浄機や、超高性能(HEPA)フィルター付き真空掃除機などを使用しましょう。
金属アーク溶接作業を行っている屋内作業場では、作業現場の換気を高め、ヒューム濃度を低くしなくてはなりません。HVLSファンは、工場・倉庫内など大空間の空気を撹拌してくれるシーリングファンです。天井に設置した大型のプロペラが絶えず回転しているので、工場などでの換気対策に有効です。また、天井有圧扇による換気、スポットクーラーといった送風機よりはるかに大きな風量で、換気能力を高める効果が期待できます。
大型設備なので、導入する際にはコストがかかりますが、電気代はフルで利用しても月々7000円程度と非常に低コストです。
工場のガス対策として、3つの方法をご紹介しました。溶接ヒュームは非常に小さい粒子で、アークの熱によって生じる上昇気流に乗って、かなりのスピードで作業現場内に拡散します。作業員の健康と安全を守るためには、どれか一つではなく、併せて行うことが大切です。
中でも、これからの対策としておすすめなのが、換気性に優れているシーリングファン(HVLSファン)の設置です。空気を効率よく循環させ、ヒュームのばく露濃度を低減させてくれます。
HVLSファンとは、大きな羽根を低速で回転させることにより、大容量の空気循環を生み出してくれる大型ファンのことです。HVLSファン1台につき、およそバスケットコート2面分ものスペースの空気を循環させることが可能。ガス対策だけでなく、熱中症対策や結露対策・カビ対策・錆対策・エネルギーコスト削減・寒さ対策・鳥害対策などさまざまな効果も期待できます。しかも、消費電力はドライヤーと同じ程度。既存のエアコンや換気装置と併用することで空調効率を高め、さらに電力コストをカットすることが可能です。
他にもある、HVLSファンのさまざまなメリットを知りたい方はぜひこちらをチェックしてみて下さい。