人の健康を守ったり、錆やカビなど機械の劣化を防いだりと、工場や倉庫などへ導入するメリットが大きいHVLSファン。導入することは決めていても、何を基準に選べばいいか迷うかもしれません。ここでは、HVLSファンの選び方について、5つのポイントを解説します。
HVLSファンを選定するときに最初に考える基準は「効果」かもしれません。しかし、HVLSファン自体の効果は、各メーカー同スペックであれば、それほど大きな違いはありません。選ぶ際に見るべきポイントは、費用、品質、納期、信頼性、重量の5点です。それぞれについて、どのような点に注目して選べばいいのかを詳しく見ていきましょう。
新しくHVLSファンを導入する際に一番気になるのは、やはり費用面ではないでしょうか。「1台分の費用を抑えたい」「まとめて購入するから総額を抑えたい」など、導入したい場所や規模によって希望は様々です。HVLSファンの本体価格や初期費用はメーカーによって異なりますが、その差は羽やパイプの長さなど、仕様による部分が大きいです。たとえば、羽は大きいほど価格が高いです。羽根が大きければ風量を上げることができ、大空間で使用する場合は、大きな羽や長いパイプが必要になるため、その分価格は高くなると考えましょう。 また、配電が難しい場所などへの設置や天井に別途加工が必要な場合は、その分工賃が高くなります。設置する施設の広さや環境によって設置台数が変わるため、設置台数の確認をすると良いでしょう。
費用については公式HPに掲載していない企業も多いため、直接問い合わせてみることをおすすめします。
品質も重要ですね。クオリティは高いに越したことはありません。しかし、どこをポイントにチェックすればいいか迷ってしまいます。HVLSファンの品質が分かりやすいポイントは「音」。モーターの性能が音に現れやすいからです。HVLSファンによっては、ものすごい騒音を出しながら稼働するファンもあります。逆にまるで稼働していないかのように静かなファンも。設置する場所によって選定することが大切です。HVLSファンのモーターは、DCとACの2種類。静かなのはDCモーターです。また、ギアレスタイプのモーターはメンテナンス不要で省電力、見た目もスタイリッシュな特徴があります。一方、通常のギアタイプは、ギアの摩耗やモーターオイルの交換など、メンテナンスが必要な上、ギアレスタイプと比較すると電力は高めとなります。モーターの種類一つとっても品質が異なるので、チェックしてみてください。
また、音とあわせて確認してほしいのは、メーカーです。HVLSファンの製造国には、アメリカ・中国・台湾・日本があります。一概にどこのファンが良いとは言えませんが、日本の販売元が機械系のメーカーになっている物を候補に入れてみてはいかがでしょうか。
HVLSファンを設置する場合、ヒアリングや施工場所の現地調査を行った上で、空間やニーズに合った製品を取り付けます。納期は2週間から3ヶ月と、メーカーによってさまざまです。海外メーカーなどで国内に在庫がない場合は、海外から配送を行うため、3ヶ月以上かかる場合があり、納期には気をつけましょう。取り付け時の破損等により、製品・部品の取り替えが必要となった場合も、同様の納期がかかるので「すぐに取り付けたい!」という場合は十分注意した方が良いでしょう。納期を見るときのポイントは「早ければ良い」という判断ではなく、自社で必要なタイミングに合うかどうかでしょう。必要な期日が決まっているのか、ゆっくりでも環境に合わせたいのか、ぜひ判断材料にしてみてください。
交渉時の対応やメンテナンスなど、アフターフォロー体制がどうなっているかも、よくメーカーに確認しましょう。HVLSファンはもともと米国が発祥で、その後改良を重ね東南アジア、日本へ広がってきました。このため、アメリカ、中国、韓国などで製造された製品が日本で多く売られています。修理にすぐ対応してもらえるか、交換部品の在庫は海外取り寄せとなるのか、故障時に対応してくれる窓口がどこになるのか、事前に確認することをおすすめします。
生産国による優劣はつけがたいですが、国産はメリットが多いので、候補に入れることをおすすめします。納期が明確な点はもちろん、サポートの手厚さは特に見逃せません。修理への対応は、国内メーカーであれば迅速です。また国産は耐久性にも優れている傾向があります。
HVLSファンは、ブレード(羽根)、モーター、制御部それぞれに保証がついているものが一般的です。それぞれに何年の保証があるのかは、チェックしておくと安心でしょう。
意外と見落としがちなポイントが重量です。重量は軽いものを選ぶと、長期的に見て良い選択になるでしょう。なぜなら、コスト負担が軽くなるからです。重量が軽いと設置する際に作業負担も少ないため、設置費用が削減できます。特に設置数が多い場所では、初期費用を抑えるためにも設置費用の削減は大きいでしょう。HVLSファンの導入が検討しやすくなります。 重量によって削減できるコストは、導入時だけではありません。導入後のランニングコストも低減できます。軽量ということは、それを動かす動力もまた少なくて済む、ということです。つまり消費電力を抑えられます。HVLSファンの中には、1台を1日動かすための電気代がコーヒー1杯分程度というものもあります。HVLSファン本体の価格も重要ですが、長期的に使い続けるものなので、ランニングコストにも注目して選んでください。
HVLSファンにはさまざまな製品があります。年間の電気代が20万円かかるファン、8万円程度で済む燃費のよいファン、重量が200kgもあるファン、100kg程度の軽量のファンなど、まさに品質はピンキリです。
多額の費用がかかるため、やはり製品の価格は気になりますが、電気代やメンテナンス費用などを考えると、安い製品の方がかえって高くつく場合もあります。10年単位の長期で使用する設備なので、初期費用よりも、ランニングコストで選ぶのがおすすめです。
ここで紹介したポイントの中でも、継続して運用していくときに重要になるポイントは、「信頼性」と「重量」。国産で軽量なものを優先的に選んでみるのも良いのではないでしょうか。